かき氷

暑くなってから、毎日のように家でかき氷を食べています。愛用のかき氷機は、購入して40年という昭和の名器。なので、フワフワ系とはほど遠い昔ながらの口当たりです。

ここ数年かき氷が話題で、とくに昨年はTVや雑誌でインスタ映えするお洒落なかき氷の特集がいくつも組まれていました。数年前の“マツコの知らない世界”がブームの発端かと勝手に思ったりしています。

ここしばらくお店のかき氷から遠ざかっていますが、食べたいのはお洒落なかき氷でも趣向を凝らしたかき氷でもなく、あずき・抹茶あずき・宇治金時といった昔からあるかき氷です。“豆派”“小豆党”なのです。

家で楽しんでいるのも小豆(あんこ)です。器にたっぷりのあんこときな粉を入れて牛乳で溶き、その器に氷を削っていきます。缶詰のみかんや業務スーパーで買った冷凍白玉(解凍させて)をトッピングしたり、“超バニラ”を載せたりします。あんこもきな粉もみかんの缶詰も冷凍白玉も超バニラも、すべて常備品なので、手軽に作ることができます。

小豆党の私ですが、子どもの頃にお祭りなどで食べたイチゴのかき氷、赤いシロップのかき氷の味は特別です。思い出と一体となり、もう味わうことのできない味です。

もう1つ忘れられないかき氷があります。下北沢にあったお店のかき氷です。昔“どっちの料理ショー”という番組で紹介されていたお店で、今はありません。民家を改装したようなお店を京都出身の女性が一人で切り盛りしていました。持ち帰り用のわらび餅も売られていました。不確かですが、お赤飯も売られていたような気がします。軒先に置かれたベンチの下に蚊取り線香が焚かれていました。京都のものなのか、見たことのない黄色い蚊取り線香でした。そのお店のかき氷の美味しさが衝撃的でした。ふわふわしていて氷なのに冷たさをあまり感じない、私にとって初めてのふわふわかき氷でした。その後、人を連れて2回食べに行き、3度目に行くとお店が閉じられていました。あの、京都の女性が作っていたかき氷が忘れられません。