自分用のカツラをつくっておく!

 失業中については、さておいて、ヘアードネーションのことについて。

 二か月間に辞めた前の職場でのこと。美人で人柄も良い同僚が長い髪をバッサリ切ってきた。尋ねると医療用のカツラをつくるために寄付したという。ヘアードネーションというらしい。知り合いの美容師がやっているヘアードネーションの賛同美容室で切ったのだと言う。美容院によっては多少の割引がされるお店もあるが、無料ではなくカット代はかかるらしい。切った髪を売るわけではなく、寄附。それからしばらくたって、今度は20代前半の若い同僚が少年のように髪を短くして出勤してきた。気恥ずかしかったのか帽子をなかなか取らなかった。彼女もヘアードネーション。流行っているらしい、ネットで検索するとたくさんヒットした。

 私の髪も長い。長いこともあって抜け毛・切れ毛が多い。シャンプー後やブラッシング後の抜け毛・切れ毛の量はかなりである。毛自体が細くなったせいもあるが、髪を結った時の束が年々細くなってきている。切れ毛の量が半端ないので、三つ編みにすると短い不揃いの毛がピョンピョンはみ出してみすぼらしい。それでいてシャンプー後の抜け毛・切れ毛の量は数年前に比べれて少なくなった。髪が長いせいもあるが、以前は薄毛の男性が見たらひっくりかえるような量の髪の毛がシャンプーの後の排水溝に溜まっていたものである。髪の毛が細くなった分、量が目減りしただけかもしれない。抜け毛で全体量が減り、切れ毛でピョンピョン丸だが、年齢の割には白髪がない長い髪を気に入っている。というか、身体はチビデブ胴長ハト胸、顔は非小顔の頬骨高、足は幅広甲高偏平足+外反母趾ときて、髪の毛ぐらいしかホドホドと思える部位が見当たらないだけなのだが。ならば、黒髪を少しでもきれいな状態で残したい、切ってゴミにするのではなく、この髪を寄付という形で残そう、活かそう、という気分になった。

 ヘアードネーション、実は提供用の髪は白髪でも良いそうだ、ただし、31㎝以上の長さが必要とあった。更にいろいろ見ていくと、治療を受ける前に自分の髪でカツラをつくるケースや、娘の髪でガン治療中の母親のカツラをつくるケース、妻が薄毛の夫に、娘が禿げている父親にそれぞれ自分の髪の毛を提供するというケースが紹介されていた。そうか、二人に一人はガンになるという時代、自分がカツラを必要とする可能性は十二分にあり得るわけだ。ガンで必要とならなくても、抜け毛によって薄毛になる日は遠くないかもしれない。白髪になって黒髪を切望するかもしれない(私は肌が過敏なので毛染めはできない気がする)。ならば、自分のカツラ用のために黒髪をカットして保存しておくのも良いだろう、と考えが変わった。

 寄付ではなく自分用となると、賛同美容室でのカットというわけにはいかないだろう。どのみち、二年ぐらい前から簡単カットで1000円札で済ませている私には、高く感じられてしまう賛同美容室のカット料金である。よし、出費することなく自分でカットしよう。ん~ん、年月をかけて伸ばしてきた大切な大切な髪。加工に適さないようなカットにならないよう、カット後の取り扱いも含めて細心の注意が必要だ。失敗は絶対回避。すると、誰かに切ってもらうのが一番・・・。なのだけど、カットを頼める適当な人が思い浮かばない。悲しい現実。交友関係の貧しさ。人望の薄さ?いいです、白髪が生えてこないうちにという急ぐ気持ちはあるけれど、髪のばっさりカット、先延ばしにします。